大石若菜助教による総説論文がEnvironmental Science: Water Research & Technologyに採択されました。
Resource recovery technologies as microbial risk barriers: towards safe use of excreta in agriculture based on hazard analysis and critical control point
(感染症リスクのバリアとしての資源回収技術:危害分析・重要管理点(HACCP)に基づくし尿の安全な農業利用に向けて)
Wakana Oishi, Björn Vinnerås, Daisuke Sano
Environmental Science: Water Research & Technology, 2023
DOI: 10.1039/D2EW00832G
概要:
ヒトが排出するし尿や排水を処理するサニテーションは、公衆衛生、環境・生態系管理に加え、資源問題に関わる重要な社会インフラの要素です。し尿には栄養塩が豊富に含まれるため、これらを回収し農地に還元するための技術の開発が進んでいます。一方で、し尿には病原体が含まれることから農業利用に伴う病原リスクは適切に管理される必要があります。本研究は食品の衛生・品質管理の手法である危害分析・重要管理点(Hazard Analysis and Critical Control Point:HACCP)の予測微生物学的アプローチをし尿の衛生安全管理に拡張するための第一段階として、し尿からの資源回収技術に関するレビューを行ない、病原体の除去・不活化を期待できる資源回収技術を特定しました。さらに、病原体不活化率、し尿の性状、及び処理時間のデータに回帰木モデルを適用することで、病原体不活化率を代替しうる迅速に測定可能な監視パラメータを特定し、病原体の目標不活化率を達成するための閾値を推定しました。これらの成果により、サニテーションの病原リスク管理にHACCPが本格的に適用されることが期待されます。